【中学受験】繰り上げ合格は存在するが、チャンスが増えるとは考えない方が良い

「一度不合格になっても、繰り上げ合格が回ってくるかもしれない。
チャンスが増える分、もう少し偏差値の高い学校を志望校にしてもいいのかも……?」
そうお考えの方もいるかもしれません。

たしかに、中学受験にも、繰り上げ合格は存在します。

しかし、繰り上げ合格の可能性があるからといって、志望校のレベルを上げたり、一か八かの賭けのような戦略をとることはおすすめできません。

なぜなら、繰り上げ合格の有無は合格の可能性に大して影響せず、志望校選択の材料にはなり得ないからです。

以下、
・そもそも繰り上げ合格とはどういう仕組みなのか
・なぜ志望校選択の材料になり得ないのか
を掘り下げて解説していきます。

「繰り上げ合格」ってどんな仕組み?

中学受験では、ある学校の試験に合格しても、入学を辞退するケースがしばしば見られます。
最もよく見られるのが、
「偏差値50の学校(第2志望)と偏差値55の学校(第1志望)を受験
 →両校とも合格したので、第2志望の学校の入学を辞退して第1志望の学校に入学」
というようなケースです。

学校側も、入学辞退者が出ることはもちろん想定しているので、実際の募集人数よりも少し多めに合格者を出しています。

そこで、入学辞退者が学校側の想定よりも多く、入学予定者が募集人数を下回った場合に、一度不合格となってしまった受験生から「繰り上げ合格」として人数を補填するのです。

具体的に説明すると、
「学校側の募集人数は120名で、入学辞退者が出ることを見越して150名の合格者を出した。その中で入学辞退者が35名出たので、5名を繰り上げ合格とした。」
といったことが起こります。

これが、「繰り上げ合格」の仕組みです。

「繰り上げ合格」は、なぜ志望校選択の材料にならない?

上記の繰り上げ合格の仕組みからわかるように、繰り上げ合格で合格する受験生は、ほんのわずかです。

また、実際に繰り上がるのは受かるか受からないかの瀬戸際、それもたった1点や2点の差で不合格になってしまったような受験生がほとんどです。

つまり、「繰り上げ合格がある=逆転のチャンスがある」ということではなくて、そもそも合格のボーダーラインに近い点数を取ることが出来ていなければ意味はありません。

よって、繰り上げ合格が出ているとしても、それ自体は志望校のレベルを上げることの理由にはならないのです。

結局、受験は貪欲に1点でも多く取りに行くべき

以上、「繰り上げ合格の有無は、逆転合格のチャンスが増えるということではない」ということを述べました。

たしかに、はじめから繰り上げ合格をあてにした受験計画を立てるのは危険なことで、残念ながら、ドラマのような鮮やかな逆転合格はなかなか起こるものではありません。
「奇跡の逆転合格」の裏には、「普通の不合格」が山ほど存在するものなのですから。

しかし同時に、「たった1点や2点の差で、合否は左右される」ということも述べました。これもまた事実で、実際に起こっていることです。

「たかが1点や2点」「漢字1個のミスなんて誤差のうち」などと軽く考えている方もいらっしゃると思いますが、ボーダーラインのギリギリのところでは、特に受験生の実力は拮抗しているので、本当にたった1点や2点の差が勝負を分けるのです。
これは、どんなに強調してもしすぎることはありません。

よって、逆転合格の有無に関わらず、「1点にこだわる注意深さと粘り強さ」は日頃から意識して、身につけていくべきです。

具体的には、
・字は丁寧に書く
・計算は、途中式や計算過程をちゃんと残しておく
・計算して出てきた数字が常識的なものか考えてみる(%を求める問題で、答えが100を超えていないか、など)
・「記号で答えるのか、記述で答えるのか」「選択肢はいくつ選ぶのか」「文末表現は『〜なこと』で終わるべきなのか」など、問題文の重要な部分にチェックをする
・一筋縄ではいかない問題は一旦後回しにして、取れる問題から確実に片付ける
といったことを、日々の勉強や模試の中で訓練していきましょう。

受験勉強には、ただ知識を詰め込んだり計算を早く出来るようにしたりするだけではなく、このような「試験との戦い方」や「自分のミスのクセ」を学んでいくことも含まれます。
これもなかなか1日や2日で身につくものではありませんから、地道にコツコツと鍛えていきましょう。

それでは、ぜひ「1点の重み」を再確認して、「1点にこだわる注意深さと粘り強さ」を身につけていってくださいね。

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